飲食店の開業をするとなったら、おそらく一番の問題となるのが開業資金ではないでしょうか。お店の規模にもよりますが、開業には数百~数千万という資金が必要になります。また物件を取得する際の初期費用だけでなく、むこう半年分は運転資金をプールした状態での開業が望ましいと言われています。
その資金を調達する方法として融資を受けるという選択肢がありますが、開業を考えているオーナーさんの中には、借金をしてまで開業するのはちょっと…と思われる方も多いようです。
しかし、どこからも借入をせず、完全に自己資金のみで開業するという場合にも、実は見えないリスクが隠されているのです。今回は、そのリスクについて考えてみたいと思います。
少ない自己資金のみで開業するする人と、資金調達をして開業する人とでは、潤沢な資金がある後者のほうが、事業成長のスピードは速くなります。ということは、利益を生み出すスピードも速くなるということです。
もちろん、借入をするからには返済の義務があり、利息も支払わなくてはいけませんが、例えば日本政策金融公庫の「新創業融資」などを利用した場合は金利も低く、かつ長期貸付のため、たくさん仕入れてその分多く売れば、その利益で利息分は充分まかなえてしまいます。それだけでなく、残った利益で設備投資をし、さらに事業を成長させることも可能になるのです。
反対に自己資金のみで開業した場合は、もしも失敗したとしても借金が残ることはありませんが、コツコツと月々の売り上げを貯めていくことはできても、これほどまでの成長のスピードは期待できません。
また資金調達した場合は、借入をしているからこそ「事業に失敗すれば借金だけが残ってしまう」という危機感を持つことができ、覚悟をもって事業に取り組むことができるという心理面のメリットもあります。
日本政策金融公庫の調査では「自己資金だけで起業することにこだわらず、資金調達先の幅を広げて適正な起業費用を希望どおり調達した起業家のほうが良好な業績をあげている。」という結果もでているように、資金調達をした人のほうが成功しやすい傾向にあるようです。