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面接や採用のポイント」では、面接時の優れた人材の見分け方についてお伝えしてきましたが、いくら優秀な人材をそろえたとしてもすぐに辞めてしまってはまったく意味がありません。
飲食店の経営していく上での最重要課題ともいえる人材育成。今経営者がすべきことは、スタッフが続けていきたいと思えるような環境を整えることと言えるでしょう。ここで働き続けたいと思ってもらえる待遇や、将来を見据えて仕事ができる環境があれば、それはそのままスタッフの仕事を続けていくモチベーションにもつながります。
ここでは、そのような就業環境をつくるために経営者がするべきことについて、具体的に考えていきたいと思います。
セクションごとの仕事の流れが書かれたマニュアルがあれば、入ってすぐのスタッフでも仕事も覚えやすく安心して働くことができます。アルバイトスタッフは、基本限られた時間の中で業務を覚えなくてはならないため、一人ひとりが抱えている不安も実は大きいものです。マニュアルは、そうしたスタッフの安心にもつながります。
大切なのは誰がみてもわかりやすく、かつ細かい疑問にも答えてくれるマニュアルをつくることです。アルバイトスタッフには高校生やシニアもいる可能性があるため、できるだけ写真やイラストを交えて簡単に理解できるマニュアルを作成しましょう。
またお客さまにとってはアルバイトであろうと正社員であろうとスタッフはスタッフです。人によって対応が異なるとお客さまからのお店の信頼度も低くなりがちです。マニュアルを共有することは、スタッフのオペレーションの均一化という効果もあり、つくっておくと何かと役に立ってくれるでしょう。
スタッフ教育で最も大切なのが、モチベーション管理です。そのため、アルバイトスタッフには一つ一つ着実に仕事をこなし、そのことによって自分に自信をつけてもらう必要があります。それぞれスキルも性格も異なるスタッフに無理なく仕事をこなしてもらうためには、一人ひとりに見合った教育プランを考え、的確な指示をすることがなにより大切なのです。
これができたら次はこれといったようにその人のペースに合わせて段階を踏みながら仕事を覚えてもらいましょう。また、やる気のあるスタッフにはもっと踏み込んだ技術を伝えるなど、スタッフをよく観察し、臨機応変な対応を心がけるのも経営者としての役割です。
ただ仕事を覚えたら終わりではなく、最終的にはその仕事をきちんと評価するまでが経営者の務めです。その際、感覚的な評価をしてしまうとかえってスタッフのモチベーションを下げてしまう恐れがあるので注意しましょう。
そうならないためにも、あらかじめ評価方法を定めておくとよいです。評価要素を決めて要素ごとに順位を決めていく「成績順位法」や、区分した評価段階に、優、良、可などの評語を付し、これを基準に成績を評価する「成績評語法」など、一般的に会社の人事などでよく用いられるような客観的な評価方法を利用すると、誰もが納得できる評価をくだすことができるでしょう。