これから店舗をオープンしたいと考えているみなさんの中には、「こんなお店をオープンしたい」というイメージが、頭の中にたくさん浮かんできているのではないでしょうか。同じように、世の中にはたくさんの店舗物件が存在します。
数ある物件の中から自分にぴったりの物件を見つけるためには、実現したい店舗イメージを早い段階で持っておくことが大切です。つまりここでも「
お店のコンセプトを決める」で考えたコンセプトが活きてきます。
今回は物件探しの第一段階でもある、希望条件の決め方についてみていきましょう。
まずは、「絶対に譲れない条件は何か」から考えてみましょう。お店を開業する動機は人それぞれ異なります。例えば、慣れ親しんだ地元の街を活性化したいという想いがあるのであれば、必然的に開業するエリアは絞られてきます。また、古民家カフェをやりたいということであれば、古民家を探す必要がでてきます。このように、自分のお店のコンセプトを実現するために絶対に譲れない条件を、まずは考えてみてください。
特に譲れない条件がない場合は、まずはエリアから考えてみるのがよいでしょう。
「売上の7割は立地で決まる」といわれるほど、飲食店の物件探しにおいて重要になるのが立地選びです。「
候補地の選び方」でみてきた街の特性によるメリットやデメリットを参考に、まずはご自分のお店のコンセプトに合う立地を考えてみましょう。
例えば平日のランチ需要の高い立地を希望するのであれば、ビジネスパーソンの多いオフィス街がよいですが、ひとことでオフィス街といっても、外資系企業や大手企業ビルが林立する六本木や赤坂のような街から、中小企業が集積する亀戸や門前仲町のような下町までさまざまです。駅や沿線、または中央区、目黒区というような行政区画で絞り込んでみるのもよいでしょう。
次に気にしたいのは賃料などの費用面です。賃料は毎月の支出に計上されるものなので、開業後の資金計画に大きく影響します。月々の支払は賃料だけでなく、光熱費、人件費、共益費などもありますので、それらを見越した資金計画に基づいて賃料設定をする必要があります。ちなみに、一般的には賃料は売上の8%におさめるのが望ましいといわれています。
売上の計算方法は、席数×回転数×客単価×月の営業日数 で割り出すことができます。その物件の広さによってもとれる席数が変わりますので、物件探しにおいてはどのくらいの広さで、何人スタッフを雇って運営していくかなどのイメージも、賃料設定の際には必要になってくるのです。
また、居抜き店舗なのかスケルトンなのかといった引き渡し条件によって、開業前にかかるイニシャルコストもかわってきます。全体の資金のバランスを考えて計画的な物件探しをしましょう。
物件探しをする際には、上記のようにエリア、賃料、広さ、引き渡し条件などを絞り込んでいくことになりますが、あまり絞りすぎるのもよくありません。はじめは条件に合わないと思っていた物件が、実際に内見してみたら実はよかったということも多々あるからです。可能性を広げるためにも、検索段階での絞り込みは適度にするほうがよいでしょう。