鉄骨造とは建築物の軀体に鉄製や鋼製の部材を用いる建築構造のことをいいます。S造またはS構造とも呼ばれます。種類は大きく三つに分類され、木造軸組工法と同じように柱、梁、筋交いを用いたブレース構造、柱と梁を完全に固定して筋交いをなくしたラーメン構造、小さな三角形を組み合わせたトラス構造があります。また、部材の厚さによってんも分類があり、厚さが6mmを超える鋼材を重量鉄骨、6mm以下の鋼材を軽量鉄骨と分けられます。
長所は、木材と比較して強度が高く、鉄筋コンクリートと比較して単位重量が軽いことから長い梁として用いることができ、柱の間隔を広くとることができる点があります。ラーメン構造の場合は、耐力壁が不要であることから間取りの自由度が非常に高く、リフォームが容易に行える点があります。逆に短所は、鉄骨は摂氏550度程度で急激に強度が落ちるため、消化が遅れると建物が倒壊してしまう危険性があるといえます。
店舗賃貸・居抜きにおいては鉄骨造はさまざまなメリットがあります。まず、用語説明の項目で説明したとおり、その部材の強度の高さのおかげで長い間隔で梁を設けることができ、さらにラーメン構造の場合には耐力壁を省略できるため間取りの自由度が高い点があります。
新しい店舗を設置する際に旧店舗の間取りに縛られることなく自由に間取りをレイアウトし直すことができるのは大変大きなメリットです。もし店舗をオープンした後であってもリフォームが容易にできる点でもメリットがあります。
2011年に発生した東日本大震災以降は店舗の耐震性への関心が非常に高まりました。その中でもとりわけラーメン構造を取り入れた物件は耐震性能が大いに評価されており、現在ではほとんどの物件でラーメン構造が採用されています。高い耐震性能に加え、間取りの自由度も高いことから、オーナーにとってはもし店舗を売却する際にはラーメン構造というのは大きなアピールポイントとなり、売却額の上昇が見込めます。また居抜き店舗で譲渡すれば固定資産税の節約もできます。