「F/Lコスト」とは、正式にはFood(食材費、原価)、Labor(人件費)を意味する言葉であり、それぞれの頭文字をとって表現しています。主に飲食業界で使っている表現方法ですが、要するに「飲食店を経営するうえで非常にウェイトが大きいコストの総称」だと認識していれば問題ありません。
飲食店において最も大きなコストは食材費であり、その次に大きなコストが人件費です。これは、一般的な企業における人件費と同じような位置づけにあるものですが、コントロールできる範囲が狭い人件費と違い、適切なコントロールが必要になるフードコストが含まれるために難易度は明らかに高くなります。
一般的な飲食店のF/Lコストは、30~50%が適切とされます。これを超えると企業として得られる利益が極端に少なくなってしまう可能性が高く、広く認識されている通常営業では到底利益が得られません。いわゆる「薄利多売営業」は、このどちらかを削ることで成り立っています。
飲食店によってコンセプトが異なるため、当然原価率も変わってきます。ある飲食店では原価率30%(平均値)で営業してたとしても、別の飲食店では原価率15%程度で営業している可能性もあります。また、50%を超える原価率で営業している飲食店もありますが、これらはそれぞれ利益が出せるコンセプトを掲げているからこそ営業することができます。つまり、原価率はあまりコントロールすることができないということです。
しかし、人件費はコントロールすることが比較的容易です。というのも、飲食店の場合は何人のスタッフで営業できるのかが大きく関係していて、能力の高いスタッフ3人で営業できる状態を能力が劣るスタッフ5人で営業していたのでは利益が出ません。ただ、それによってスタッフの成長を促進することができれば、いずれそこで鍛えられたスタッフが3人で営業できるようになる期待が持て、そこでコストをペイできます。