居抜きとは、テナントなどを借りていた以前の契約者が什器備品に家具、設備などをそのまま残していることを状態のことを指します。通常は退出する前に原状回復工事を行い、コンクリート打ちっ放しの原状回復状態にすることが決められていますが、オーナーの了解を得ることで設備類を残して退出することが可能です。
飲食店や小売業の店舗で見かけることが多いのですが、中には旅館や工場など大型の売買物件でも見かけることがあります。ただし、居抜きといっても備品だけが残されていたり、店内の内装の一部だけが取り残されている状態でも同じように扱われることがあります。どこまで什器備品や家具、設備が残されているかは物件次第のため、契約前の見学が重要になっています。
居抜き物件は残された設備類にも価値があると判断されるため、残された備品や設備に付帯価値をつけて判断されることが多いです。そのため、原状回復した物件より高めの金額で設定されることになります。
居抜き物件では設備や造作がそのままのため、同じ業種であれば簡単な手直しで使えるものも多く、特に飲食店では厨房を設計し直す必要がないことが利点とされます。すでにある設備を利用できることから初期費用を抑えることができるのはもちろんのこと、工事にかかる期間も短縮できるため営業までの時間短縮にも繋がります。
場合によっては看板を付け替えるだけで営業が開始できることもあるため、多くの設備類が残っている物件が人気です。また、退去する側からしても、原状回復にかかる解体費用を捻出する必要がなく、造作譲渡による収入も得ることができます。本来なら退去する前に解体工事による期間が発生するため、その間の営業がストップしてしまうのですが、解体工事をする必要がない分、引き渡し直前まで営業を続けることができるのも大きな利点です。退去する側、入居する側のどちらにも利点が多く、それぞれに必要なコストを抑えることができます。